スマートフォンの充電に便利なモバイルバッテリー。しかし、ニュースで発火事故を見て、「自分が使っている製品は大丈夫?」「Amazonで安いモバイルバッテリーを買っても安全なの?」と不安になったことはありませんか?
モバイルバッテリーは、使い方や保管方法によって発火のリスクが高まる場合があります。また、製造上の不具合が原因となる事故もあるため、正しく使用するだけでなく、購入前の製品確認も重要です。
この記事では、消費者庁や製品評価技術基盤機構(NITE)の情報をもとに、モバイルバッテリーが発火する原因、やってはいけない使い方10選、事故を防ぐための安全対策を分かりやすく解説します。
これからAmazonなどでモバイルバッテリーを購入する人も、すでに使っている人も、ぜひ参考にしてください。
モバイルバッテリーはなぜ発火する?主な原因を解説
多くのモバイルバッテリーには、リチウムイオン電池が使われています。
リチウムイオン電池は、小型で多くの電気を蓄えられる便利な電池です。一方、内部ショートや異常な発熱が起きると、発煙・発火につながる場合があります。
代表的な原因として、次のようなものがあります。
- 落下や圧迫による電池内部の損傷
- 高温環境による電池の劣化や異常発熱
- 水濡れや端子部分のショート
- 不適切な充電器やケーブルの使用
- 充電制御回路や電池セルなどの製造上の不具合
- 長期間の使用や不適切な保管による劣化
こうした異常が引き金となり、電池内部で発熱が連鎖的に進む「熱暴走」が起きることがあります。
ただし、充電中に本体が少し温かくなること自体は珍しくありません。問題なのは、普段と明らかに違う熱さ、膨張、異臭、異音などの異常が見られる場合です。
モバイルバッテリーの発火事故は実際に起きている
消費者庁によると、2021年4月1日から2025年9月30日までに、モバイルバッテリーの発熱・発火などに関する情報が事故情報データバンクに約700件登録されています。
報告された事例には、カバンの中でスマートフォンを充電しているときの発火や、自動車内に置いていたモバイルバッテリーの発火などがあります。
この件数は国内のすべての事故を網羅した数字ではありませんが、モバイルバッテリーの事故が実際にさまざまな場面で発生していることが分かります。
モバイルバッテリーのやってはいけない使い方10選
発火リスクを減らすためには、日頃の取り扱いが重要です。特に注意したい10項目を紹介します。
① 布団や枕の近くで充電したまま寝る
寝る前にモバイルバッテリーを充電して、そのまま朝まで放置していませんか?
就寝中は、異常発熱や異臭などの変化に気づきにくくなります。
さらに、布団や枕、衣類などの上では熱がこもりやすく、万が一発火した場合には周囲へ燃え広がる危険もあります。
充電は、できるだけ起きている時間帯に、周囲に燃えやすいものがない、硬く安定した場所で行いましょう。
② 夏の車内や直射日光が当たる場所に放置する
夏場の車内は非常に高温になります。
特にダッシュボードの上や窓際など、直射日光が当たる場所への放置は避けましょう。
リチウムイオン電池は高温環境によって劣化が進み、異常発熱や発火などの事故につながるおそれがあります。
車で移動する場合も、車内に置きっぱなしにせず、メーカーが指定する使用・保管温度を守ることが大切です。
③ モバイルバッテリーを落としたり強く圧迫したりする
モバイルバッテリーは、外側に大きな傷がなくても、内部の電池が損傷している場合があります。
例えば、硬い床への落下、重い荷物による圧迫、踏みつけるような扱いには注意が必要です。
強い衝撃を受けた製品は、外観に異常がなくても使用を控え、メーカーや販売店に相談しましょう。
④ 水に濡れたまま使用・充電する
雨で濡れたカバンに入れていたり、飲み物をこぼしたりした場合も注意が必要です。
水分が内部や端子に入り込むと、ショートや故障の原因になります。
濡れた製品は通電させず、メーカーの案内に従って対応してください。
ドライヤーなどで無理に加熱したり、動作確認のために充電したりすることは避けましょう。
⑤ 端子部分に金属類を接触させる
カバンの中で鍵や硬貨などの金属類と一緒に持ち歩く場合は、端子部分にも注意しましょう。
端子の構造や接触条件、破損状態によっては、金属類によってショートが起きるおそれがあります。
ただし、金属が本体に触れただけで必ずショートするわけではありません。
端子部分に異物が入らないよう注意し、コネクタが破損した製品は使わないでください。
持ち運ぶ際は、端子を保護できるケースやポーチなどを利用する方法もあります。
⑥ 膨らんだモバイルバッテリーを使い続ける
以前より本体が厚くなった、ケースが浮いている、表面が変形しているといった場合は危険信号です。
内部の電池に異常が起きている可能性があるため、使用や充電を中止してください。
膨らんだ製品を押しつぶしたり、穴を開けたり、分解したりすることは絶対に避けましょう。
処分方法は自治体やメーカーによって異なり、膨張した製品は通常の回収ボックスで受け付けない場合もあります。
⑦ 対応していない充電器や破損したケーブルを使用する
モバイルバッテリーを充電するときは、製品の取扱説明書で指定された入力条件を確認しましょう。
USB充電器やケーブルは、他社製だから必ず危険というわけではありません。
しかし、仕様が合わない製品、破損したケーブル、品質に問題のある充電器などはトラブルの原因になります。
コネクタが曲がっている、ケーブルの被覆が破れている、接続部分が異常に熱くなる場合は使用を中止してください。
⑧ 異常に熱くなっても充電を続ける
充電中に多少温かくなることはありますが、普段と明らかに違う熱さを感じる場合は注意が必要です。
焦げ臭い、シューという音がする、煙が出るなどの症状があれば、重大な異常が発生している可能性があります。
安全に操作できる場合は使用を中止し、電源から切り離してください。
煙や炎が出ている場合は無理に触れず、避難と119番通報を優先しましょう。
⑨ 満充電になっても長時間つなぎっぱなしにする
モバイルバッテリーには、通常、充電を制御する回路が搭載されています。
そのため、満充電後に充電器へ接続しているだけで、必ず過充電になるわけではありません。
「充電しっぱなし」と「過充電」は同じ意味ではないという点は覚えておきましょう。
過充電とは、電池が許容する範囲を超えて充電される異常な状態を指します。正常な充電制御が働いていれば、通常は過充電を防ぐ仕組みになっています。
ただし、充電制御の不具合や不適切な使用環境などによって、事故につながる可能性はあります。
消費者庁も、満充電後に充電し続ける状態を避けるよう呼びかけています。
充電が完了したら、できるだけ充電器から外す習慣をつけましょう。
⑩ リコール対象製品を確認せずに使い続ける
モバイルバッテリーの発火事故には、製造上の不具合が関係するケースもあります。
そのため、正しい使い方をしていても事故を完全に防げるとは限りません。
購入した製品がリコール対象になっていないか、メーカー名だけでなく型番まで確認することが重要です。
特にAmazonなどで購入した製品は、購入履歴から正確な商品名や型番を確認しておきましょう。
リコール情報は、消費者庁「リコール情報サイト」などで調べることができます。
モバイルバッテリーの危険な充電・保管場所と安全な場所
モバイルバッテリーの事故を防ぐためには、使い方だけでなく、充電する場所や保管する場所も重要です。
避けたい充電・保管場所
- 布団、枕、ソファ、カーペットなど熱がこもりやすい場所
- 夏の車内や直射日光が当たる窓際
- 暖房器具の近く
- 浴室や洗面所など、水がかかりやすい場所
- 重い荷物で圧迫されるカバンの中
- 鍵や硬貨などの金属類と端子が接触するおそれがある場所
安全性を考えた充電・保管場所
- 硬く安定した机の上など、熱がこもりにくい場所
- 周囲に燃えやすいものがない場所
- 直射日光や暖房器具の熱を避けられる場所
- メーカー指定の温度範囲内で保管できる場所
- 水濡れや強い衝撃を受けにくい場所
保管に適した温度は製品によって異なるため、「すべてのモバイルバッテリーは10~25℃で保管する」といった一律の基準で判断するのではなく、製品の取扱説明書を確認してください。
また、保護ケースを使う場合も、充電中に熱がこもらないよう注意しましょう。
Amazonでモバイルバッテリーを購入するときの注意点
Amazonでは、多数のメーカーやブランドからモバイルバッテリーが販売されています。
有名メーカーだけでなく、初めて名前を聞くブランドの商品も少なくありません。
しかし、知名度が低いことや海外ブランドであることだけを理由に、危険な製品だと判断することはできません。
購入前には、次の点を確認しましょう。
- 対象製品に必要なPSE表示があるか
- 製造・輸入事業者や販売事業者の情報が確認できるか
- 正確な製品型番と仕様が記載されているか
- メーカーの公式サイトや問い合わせ窓口があるか
- 過去にリコールや事故情報が公表されていないか
- レビューに異常発熱や膨張などの報告がないか
- 保証や不具合発生時の対応が明記されているか
PSEマークがあれば絶対に安全なの?
いいえ。PSEマークは、発火しないことを保証するものではありません。
日本では、電気用品安全法の対象となるモバイルバッテリーについて、法令に基づく表示などが求められています。
一般的な対象製品では、丸形のPSEマークに加え、届出事業者名や定格電圧・定格容量などの表示を確認することが重要です。
一方、製品の仕様によってはPSE表示義務の対象外となるものもあります。
したがって、単にマークの有無だけで判断せず、製品仕様や事業者情報も合わせて確認しましょう。
また、PSE表示がある製品でも、製造上の不具合や誤った使用方法などによって事故が起きる可能性があります。
参考:経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に気をつけましょう!」
モバイルバッテリーが発火する前兆はある?
発火前に必ず分かりやすい前兆が現れるとは限りません。
ただし、次のような異常が見られた場合は注意が必要です。
- 本体が異常に熱くなる
- 本体が膨らんだり変形したりする
- 焦げたような臭いがする
- 煙が出る
- シューという音など、普段と違う異音がする
- 落下や水濡れの後に動作が不安定になる
これらは故障や内部異常を疑うサインです。
異常を感じた場合は使用・充電を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
なお、こうした症状がなくても突然事故が起きる可能性はあるため、「膨らんでいないから絶対に安全」とは判断できません。
もしモバイルバッテリーから煙や火が出たら?
モバイルバッテリーから煙や炎が出た場合は、まず自分と周囲の人の安全を確保することが最優先です。
- 煙や炎が噴き出している製品には近づかない。
- 周囲の人に危険を知らせ、安全な場所へ避難する。
- 119番へ通報し、状況を伝える。
- 安全に対応できる場合に限り、消防や公的機関の案内に従って消火する。
消費者庁は、発火した場合はまず安全を確保し、可能であれば大量の水で消火するよう案内しています。
ただし、激しく炎や火花が噴き出している製品に近づいてはいけません。
無理に手で持ち運んだり、危険を冒して消火を試みたりせず、避難を優先してください。
参考:消費者庁「リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう」
モバイルバッテリーを長期間使わないときの保管方法
モバイルバッテリーをしばらく使わない場合も、保管環境に注意しましょう。
直射日光の当たる窓際、暖房器具の近く、夏の車内などは避け、メーカー指定の温度範囲内で保管してください。
また、長期間使用しない場合は、取扱説明書に記載された充電残量や保管方法に従いましょう。
長期間放置した製品は、使用前に本体の膨張、変形、異臭、破損などがないか確認することも重要です。
異常が見つかった場合は、再び充電して動作確認するのではなく、使用を中止してください。
モバイルバッテリーの発火に関するよくある質問
Q. モバイルバッテリーは充電していなくても発火しますか?
はい。充電中だけでなく、保管中や持ち運び中に発火した事例も報告されています。
内部の損傷や製造上の不具合などが原因となる場合があります。
Q. 安いモバイルバッテリーは発火しやすいですか?
価格だけで発火リスクを判断することはできません。
ただし、極端に安い製品や事業者情報が不明確な製品は、購入前に十分な確認が必要です。
価格だけでなく、PSE表示、販売元、製品仕様、保証、リコール情報などを確認しましょう。
Q. 中国製のモバイルバッテリーは危険ですか?
製造国だけで安全性を判断することはできません。
同じ国で製造された製品でも、設計、部品、品質管理、検査体制などはメーカーや製品によって異なります。
安全性を確認する際は、製造国だけでなく、製品の仕様、販売事業者、PSE表示、リコール情報などを確認しましょう。
Q. PSEマークが付いていれば発火しませんか?
いいえ。PSEマークは電気用品安全法に関係する表示ですが、発火しないことを保証するものではありません。
購入後も正しい使用方法を守り、異常がないか確認することが重要です。
Q. モバイルバッテリーは何年で交換するべきですか?
すべての製品に共通する交換年数はありません。
電池の劣化は、使用頻度、充放電回数、保管温度などによって異なります。
メーカーが交換目安を案内している場合はそれに従い、膨張や異常発熱などが見られた場合は年数に関係なく使用を中止しましょう。
Q. モバイルバッテリーを充電しっぱなしにすると必ず発火しますか?
いいえ。正常な充電制御回路が働いている製品では、満充電後に接続しているだけで必ず過充電になるわけではありません。
ただし、就寝中など異常に気づきにくい状況での充電は避け、充電が完了したらできるだけ充電器から外しましょう。
Q. 古いモバイルバッテリーを捨てたい場合は?
モバイルバッテリーは、一般の家庭ごみに混ぜて捨てないでください。
メーカーや販売店の回収方法、自治体の分別・回収ルールを確認しましょう。
特に膨張・破損した製品は、通常の回収ボックスでは受け付けない場合があります。
異常のある製品を無理に放電させたり分解したりせず、自治体やメーカーに相談してください。
まとめ|モバイルバッテリーの発火リスクを減らすために
モバイルバッテリーは便利な製品ですが、リチウムイオン電池を搭載している以上、発火リスクが完全になくなるわけではありません。
日頃から特に意識したいのは、次の5点です。
- 就寝中や布団の上での充電を避ける
- 夏の車内など高温の場所に放置しない
- 落下・圧迫・水濡れに注意する
- 膨張や異常発熱があれば使用を中止する
- 購入前と購入後に製品情報やリコール情報を確認する
Amazonなどで初めて見るブランドのモバイルバッテリーを購入する場合も、単に価格や口コミの星の数だけで判断せず、販売元や安全表示を確認することが大切です。
安全性を考えて製品を選び、正しく使い、不要になったら適切に処分する。
この3つを意識して、モバイルバッテリーを上手に活用しましょう。

