「モバイルバッテリーが発火するニュースを見て、購入するのが少し怖くなった」「安全性を重視するなら、どのメーカーを選べばいいの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
モバイルバッテリーは、スマートフォンなどを外出先で充電できる便利な製品です。一方、内部に使われるリチウムイオン電池が異常発熱し、発火する事故も報告されています。
ただし、価格が高い製品や有名メーカーの製品なら、絶対に発火しないというわけではありません。
安全性を重視して選ぶには、PSEマーク、メーカー・販売元、リコール情報、製品仕様、保証・サポートなどを組み合わせて確認することが大切です。
この記事では、NITE(製品評価技術基盤機構)や経済産業省などの公的情報を参考に、モバイルバッテリーを購入する前に確認したい7つのポイントを解説します。
Amazonや楽天市場などで購入する場合の注意点も紹介しますので、製品選びの参考にしてください。
- 発火しにくいモバイルバッテリーはどう選ぶ?7つのチェックポイント
- ① PSEマークを確認する|マークがあれば絶対安全?
- ② メーカー・販売元を確認する|信頼できる会社の判断基準
- ③ リコール情報を確認する|購入予定の型番を検索しよう
- ④ 製品仕様を確認する|容量・出力・充電規格の見方
- ⑤ 価格や販売ページを確認する|極端に安い製品には注意
- ⑥ 保証・サポートを確認する|不具合が起きたときの対応も重要
- ⑦ 購入先を確認する|Amazonや楽天で買うときの注意点
- リン酸鉄リチウムイオン電池なら発火しない?
- 安全性を確認したモバイルバッテリーでも使い方には注意
- モバイルバッテリーの安全性に関するよくある質問
- まとめ|発火リスクを減らすには購入前の7項目を確認しよう
- 参考資料・公的機関の情報
発火しにくいモバイルバッテリーはどう選ぶ?7つのチェックポイント
モバイルバッテリーを購入する際は、メーカー名や価格だけで判断せず、次の7項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 購入前のチェック内容 |
|---|---|
| ① PSEマーク | 丸形PSEマークと届出事業者名などの表示を確認 |
| ② メーカー・販売元 | 会社情報や問い合わせ先が明確か確認 |
| ③ リコール情報 | 購入予定の型番がリコール対象になっていないか確認 |
| ④ 製品仕様 | 容量・入力・出力・対応規格などを確認 |
| ⑤ 価格・販売ページ | 極端に安くないか、説明に不自然な点がないか確認 |
| ⑥ 保証・サポート | 保証条件や不具合時の連絡先を確認 |
| ⑦ 購入先 | 公式ストア・正規販売店か、販売事業者は誰か確認 |
これらを確認しても、発火事故の可能性がゼロになるわけではありません。
しかし、製品情報が不明確な商品を避け、不具合が起きたときに相談できる事業者から購入することは、重要な判断材料になります。
① PSEマークを確認する|マークがあれば絶対安全?
日本国内で販売される一般的なモバイルバッテリーは、電気用品安全法の規制対象となっています。
対象となる製品を販売するためには、法令に基づく技術基準への適合確認などが必要であり、所定の表示が求められます。
モバイルバッテリーのPSEマークは丸形
一般的なモバイルバッテリーで確認するPSEマークは、丸形のPSEマークです。
PSEマークには丸形とひし形がありますが、電気用品の区分によって使用するマークが異なります。
購入前には、商品ページの説明だけでなく、可能であれば製品本体の表示が分かる写真も確認しましょう。
また、PSEマークだけでなく、その近くに表示される届出事業者名なども確認することが大切です。
PSEマークは国による個別認証マークではない
ここで知っておきたいのが、PSEマークの意味です。
PSEマークは、国がモバイルバッテリーを1台ずつ検査し、「絶対に安全」と認証したマークではありません。
電気用品安全法では、対象製品を製造・輸入する届出事業者などが、法令に基づく技術基準への適合確認や検査などを行い、所定の条件を満たした製品にPSEマークを表示する仕組みになっています。
一般的なモバイルバッテリーが該当する丸形PSEマークの区分では、国が個々の製品を認証しているわけではありません。
そのため、PSEマークは購入時に確認すべき重要な表示ですが、発火事故が起きないことを保証するものではない点に注意してください。
PSEマークがあっても発火する可能性はある
適切な表示のある製品でも、落下や圧迫による内部損傷、高温環境、経年劣化、製品の不具合などによって事故が起きる可能性があります。
また、通販サイトの商品画像にPSEマークが掲載されているだけでは、実際の製品表示が正しいかどうかまで確認できるとは限りません。
PSEマークと届出事業者名を確認したうえで、メーカー情報やリコール情報も合わせて調べましょう。
② メーカー・販売元を確認する|信頼できる会社の判断基準
「どこのメーカーのモバイルバッテリーが一番安全なのか」と気になる方もいるでしょう。
しかし、メーカー名だけで発火事故の起きにくさを順位付けすることは困難です。
事故の報告件数が多いメーカーでも、販売台数が非常に多い可能性があります。また、事故情報の収集条件や使用状況も異なります。
そのため、事故件数だけで安全性ランキングを作ると、実際の危険性を正しく比較できない場合があります。
ここでは、メーカーや販売元を確認する際の判断材料を紹介します。
会社情報や問い合わせ先が明確か
メーカーの公式サイトに、運営会社や問い合わせ方法などが掲載されているか確認しましょう。
購入後に異常発熱や膨張などが発生した場合、相談先が分からないと対応に困る可能性があります。
問い合わせ先が明確で、製品に関する情報を確認できる事業者を選ぶことが大切です。
製品の型番や取扱説明書を確認できるか
同じメーカーでも、容量や出力、充電方式などが異なる製品を販売しています。
購入予定の型番が明確で、取扱説明書や製品仕様を確認できるかチェックしましょう。
型番は、後からリコール情報を調べる際にも役立ちます。
ブランド名と届出事業者名が違っても問題ない?
商品ページに表示されるブランド名と、製品本体に記載された届出事業者名が異なる場合があります。
これは、ブランドを運営する会社と、日本国内で製品を輸入・販売する事業者が異なる場合などがあるためです。
名前が違うという理由だけで、直ちに危険な製品と判断することはできません。
重要なのは、表示された事業者の情報を確認でき、必要なときに問い合わせができることです。
③ リコール情報を確認する|購入予定の型番を検索しよう
モバイルバッテリーを購入する前には、リコール情報を確認することをおすすめします。
リコールとは、製品の不具合などによって事故のおそれがある場合に、事業者が回収・交換・修理などを行う対応です。
リコール対象製品を使い続けると、火災などの事故につながる可能性があります。
方法① NITE SAFE-Liteで検索する
NITEが提供する「SAFE-Lite」では、製品事故やリコールに関する情報を調べることができます。
「モバイルバッテリー」などの製品名で検索し、メーカー名や型番も確認しましょう。
▶ NITE SAFE-Liteで製品事故・リコール情報を調べる
方法② 経済産業省の製品安全情報を確認する
経済産業省の製品安全ガイドでも、製品事故やリコールに関する情報が公開されています。
方法③ メーカー公式サイトを確認する
メーカーの公式サイトにある「重要なお知らせ」「リコール」「製品に関するお知らせ」などのページも確認しましょう。
リコール対象かどうかは、製品名だけでなく、型番や製造番号などによって区別される場合があります。
同じブランドのモバイルバッテリーでも、対象型番が異なればリコールの対象外となる場合があります。
なお、検索しても情報が見つからないことは、その製品に不具合が存在しないことの証明ではありません。
購入後に新たなリコールが発表される場合もあるため、必要に応じて最新情報を確認しましょう。
④ 製品仕様を確認する|容量・出力・充電規格の見方
モバイルバッテリーを選ぶ際は、容量や出力などの仕様も確認しましょう。
使う機器に合った製品を選ぶことで、必要な充電性能を確保しやすくなります。
容量は用途に合わせて選ぶ
モバイルバッテリーの容量は、一般的に「mAh(ミリアンペア時)」で表示されています。
例えば、スマートフォンの補助充電を目的とする場合と、複数の機器を長時間充電したい場合では、必要な容量が異なります。
ただし、表示容量をそのままスマートフォンの充電に使えるわけではありません。
電圧変換や充電時の損失があるため、「10,000mAhのモバイルバッテリーなら、5,000mAhのスマートフォンを必ず2回満充電できる」とは限りません。
入力・出力と対応する充電規格を確認する
製品の仕様欄には、入力・出力の電圧や電流、最大出力などが記載されています。
USB Power Delivery(USB PD)などの急速充電に対応する製品もあります。
ただし、実際の充電速度は、モバイルバッテリーだけでなく、接続する機器やケーブルなどの組み合わせによって異なります。
使用する機器に対応しているか確認しましょう。
大容量のモバイルバッテリーほど発火しやすい?
容量が大きいという理由だけで、特定の製品が発火しやすいと断定することはできません。
事故の危険性は、電池の設計、品質、保護回路、使用環境、損傷の有無など、さまざまな要因に左右されます。
容量だけで安全性を判断するのではなく、製品全体の情報を確認しましょう。
⑤ 価格や販売ページを確認する|極端に安い製品には注意
Amazonや楽天市場などの通販サイトでは、似たような容量のモバイルバッテリーでも価格に大きな差があります。
安い製品がすべて危険というわけではありません。
しかし、類似製品と比較して極端に安い場合は、購入前に詳しく確認した方がよいでしょう。
商品説明が不明確な製品は慎重に確認する
次のような商品ページでは、購入前に追加確認することをおすすめします。
- 製品の型番が記載されていない
- メーカーや販売元の情報が分からない
- PSEマークや届出事業者名を確認できない
- 容量や出力の説明が曖昧である
- 取扱説明書や保証条件が見つからない
- 問い合わせ先が確認できない
- 商品説明に不自然な日本語や過剰な表現がある
ただし、商品ページに情報が掲載されていないだけで、直ちに違法・危険な製品と判断できるわけではありません。
不明な点がある場合は、購入前に販売元へ問い合わせましょう。
レビューの評価点だけで判断しない
購入者レビューは、使い勝手や重量、充電速度などを知る参考になります。
一方、レビューの評価点が高いからといって、製品の安全性が証明されるわけではありません。
レビューは参考情報として利用し、PSE表示や事業者情報、リコール情報なども確認しましょう。
⑥ 保証・サポートを確認する|不具合が起きたときの対応も重要
モバイルバッテリーを購入する際は、保証期間だけでなく、不具合が起きたときの対応方法も確認しておきましょう。
保証期間と保証条件を確認する
保証期間が長いことは、購入時の判断材料の一つになります。
ただし、保証期間の長さだけで、製品の発火しにくさを判断することはできません。
保証対象となる条件や、交換・返品などの対応方法を確認しましょう。
異常発熱や膨張が起きた場合の連絡先を確認する
購入後に異常発熱、膨張、変形などが発生した場合、どこに相談すればよいか分かることが大切です。
メーカーの問い合わせ窓口や、販売元のサポートページを確認しておきましょう。
使用済み製品の回収方法も確認する
モバイルバッテリーは、使い終わったときの処分方法も重要です。
メーカーが回収方法を案内しているか、自治体の回収ルールを確認できるかもチェックしておきましょう。
特に、膨張・破損した製品は、通常の回収ボックスでは受け付けてもらえない場合があります。
関連記事:モバイルバッテリーが膨らんだら危険?捨て方・処分方法と発火の前兆を解説
⑦ 購入先を確認する|Amazonや楽天で買うときの注意点
Amazonや楽天市場などでは、多くのメーカーや販売事業者がモバイルバッテリーを販売しています。
購入する際は、ブランド名だけでなく、実際に販売している事業者も確認しましょう。
メーカー公式ストア・正規販売店か確認する
メーカー公式ストアや正規販売店であれば、製品情報や保証条件、問い合わせ先を確認しやすい場合があります。
ただし、公式ストアや正規販売店で購入した製品でも、事故が絶対に起きないわけではありません。
購入先だけでなく、製品自体の情報も確認しましょう。
ブランド名と販売事業者を区別する
通販サイトでは、商品ページに表示されるブランド名と、実際に販売する事業者が異なる場合があります。
購入前には、販売事業者の情報や問い合わせ方法を確認しておきましょう。
また、発送を担当する事業者と、商品の販売契約上の販売元が異なる場合もあります。
保証や返品の条件を確認する際は、誰が販売している商品なのかを把握しておくことが大切です。
購入履歴を残しておく
購入後にリコールが発表された場合、購入履歴や型番などの情報が役立ちます。
注文履歴、製品の型番、保証書などは、必要なときに確認できるようにしておきましょう。
なお、リコール対象製品については、保証期間が過ぎていてもメーカーから特別な対応が案内される場合があります。
リン酸鉄リチウムイオン電池なら発火しない?
モバイルバッテリーの安全性を調べると、「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」という言葉を見かけることがあります。
リン酸鉄リチウムイオン電池は、正極材料にリン酸鉄リチウムを使用する電池の一種です。
一般的に、正極材料の性質として熱的安定性が比較的高いとされています。
しかし、リン酸鉄リチウムイオン電池だから絶対に発火しない、という意味ではありません。
電池材料の安定性と製品全体の安全性は別
電池の発火リスクは、正極材料だけで決まるものではありません。
電池セルの設計、保護回路、製造品質、充電制御、使用環境、外部からの衝撃など、さまざまな要因が関係します。
そのため、リン酸鉄リチウムイオン電池の材料特性に関する説明を、そのまま完成品のモバイルバッテリー全体の発火リスクの比較結果と考えることはできません。
異なる製品の安全性を比較するには、同じ条件での試験結果などが必要です。
「リン酸鉄だから安全」と決めつけない
商品ページにリン酸鉄リチウムイオン電池と記載されていても、それだけで安全性が保証されるわけではありません。
また、一般的なリチウムイオン電池を使った製品が、すべて危険ということでもありません。
電池の種類だけで判断せず、PSE表示、メーカー情報、製品仕様、リコール情報などを確認しましょう。
安全性を確認したモバイルバッテリーでも使い方には注意
購入時に十分確認した製品であっても、使い方や保管方法によって事故が起きる可能性があります。
特に、高温環境、強い衝撃、異常発熱などには注意が必要です。
夏の車内に放置しない
炎天下の車内は高温になりやすく、リチウムイオン電池の劣化や異常につながるおそれがあります。
ダッシュボードだけでなく、座席や車内の収納スペースに置きっぱなしにすることも避けましょう。
落下や圧迫を避ける
硬い床への落下や、カバンの中で重い荷物に押されることによって、電池内部が損傷する場合があります。
外装に大きな傷がなくても、内部に異常が起きている可能性があります。
強い衝撃を受けた場合は、使用を控えてメーカーなどに相談しましょう。
異常発熱・膨張・異臭があれば使用を中止する
本体の膨張、異常な熱さ、焦げ臭さ、変形などが見られた場合は、使用を中止してください。
特に、膨張した製品を「まだ充電できるから」と使い続けることは避けましょう。
煙や炎が出ている場合は、無理に触れず、安全な場所へ避難し、119番へ通報してください。
モバイルバッテリーの発火原因や、やってはいけない使い方については、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:モバイルバッテリーが発火する原因は?やってはいけない使い方10選と安全対策
モバイルバッテリーの安全性に関するよくある質問
Q. PSEマークがあれば安全なモバイルバッテリーですか?
PSEマークは、対象製品を購入する際に確認すべき重要な表示です。
ただし、国が製品を1台ずつ認証したマークではなく、発火事故が絶対に起きないという保証でもありません。
届出事業者名やメーカー情報、リコール情報も合わせて確認しましょう。
Q. 有名メーカーのモバイルバッテリーなら発火しませんか?
有名メーカーの製品でも、事故が絶対に起きないとはいえません。
メーカー名だけでなく、購入予定の型番、製品仕様、リコールの有無などを確認してください。
Q. 安いモバイルバッテリーは危険ですか?
安いという理由だけで危険とは断定できません。
ただし、極端に安い製品や、販売元・仕様などの情報が不明確な製品は慎重に確認しましょう。
Q. モバイルバッテリーのリコール情報はどこで調べられますか?
NITE SAFE-Lite、経済産業省の製品安全ガイド、メーカー公式サイトなどで確認できます。
ブランド名だけでなく、製品の型番や製造番号なども照合してください。
Q. リン酸鉄リチウムイオン電池は絶対に発火しませんか?
いいえ。正極材料の熱的安定性が比較的高いとされますが、発火の可能性が完全になくなるわけではありません。
製品全体の設計や品質、使用環境なども重要です。
Q. モバイルバッテリーは何年使えますか?
使用できる期間は、製品や使用頻度、充電回数、保管環境などによって異なります。
一律の年数だけで判断せず、メーカーの案内や製品の状態を確認してください。
膨張や異常発熱などが見られた場合は、使用年数に関係なく使用を中止しましょう。
Q. PSEマークが見つからない製品は購入しない方がいいですか?
一般的なモバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象であり、対象製品には所定の表示が必要です。
購入予定の製品で必要な表示を確認できない場合は、販売元に確認しましょう。
表示や事業者情報が確認できないまま購入することはおすすめしません。
まとめ|発火リスクを減らすには購入前の7項目を確認しよう
発火しにくいモバイルバッテリーを選びたい場合、特定のメーカー名や価格だけで判断するのはおすすめできません。
購入前には、次の7項目を確認しましょう。
- PSEマークと届出事業者名などの表示を確認する
- メーカー・販売元の情報や連絡先を確認する
- 購入予定の型番のリコール情報を確認する
- 容量・入力・出力・充電規格などの仕様を確認する
- 価格や商品説明に不自然な点がないか確認する
- 保証条件や不具合時のサポートを確認する
- 購入先が公式ストア・正規販売店かなどを確認する
特に優先したいのは、PSEマークと事業者情報、リコール情報の確認です。
ただし、これらを確認しても事故の可能性がゼロになるわけではありません。
購入後も高温環境や強い衝撃を避け、異常があれば使用を中止することが大切です。
「絶対に発火しない製品」を探すのではなく、購入前に安全性の判断材料を確認し、購入後も正しく使うことを意識しましょう。
モバイルバッテリーの発火原因や、膨張したときの処分方法については、次の記事も参考にしてください。

