2026年10月27日、GMOインターネットの「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスをめぐり、攻撃者とみられる「Hacking Team(ハッキングチーム)」が女性利用者の個人情報と称する内容を公開したことが明らかになりました。
SNSでは「被害者第1号」と題された画像も出回っており、個人情報の拡散による二次被害が懸念されています。
ここで気になるのが、「こうした個人情報をX(旧Twitter)でリポストしたり、スクリーンショットを転載したりすると罪になるのか?」という点です。
結論からいうと、個人情報を拡散したからといって、必ず犯罪になるわけではありません。しかし、投稿内容や拡散方法によっては、プライバシー侵害による損害賠償や、名誉毀損罪などの刑事責任が問題になる可能性があります。
この記事では、GMOの公式発表をもとに、個人情報を拡散する行為の法的リスクや、SNS利用者が注意したいポイントを解説します。
※本記事では、被害者とされる女性の氏名・住所・写真・連絡先、攻撃者のWebサイトのURLなどは掲載しません。
GMOのサイバー攻撃で「被害者第1号」の個人情報が公開された?
2026年10月27日、GMOインターネットは「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスに関する第10報を発表しました。
同社によると、攻撃者とみられる者が、同社および顧客に関する情報と称する内容を公開したことを、10月27日12時30分に確認したとのことです。
ITmedia NEWSも、攻撃者側が同日正午ごろ、顧客1人の個人情報とする内容を公開したと報じています。
ただし、公開された情報が実際の利用者のものなのか、記載内容が正確なのかについては、確認が必要です。
GMOも、公開された内容には事実と異なる情報が含まれる可能性があるとして、調査を進めています。
そのため、SNS上で「被害者第1号」と呼ばれている女性についても、実際の被害者であると断定することはできません。
「被害者第1号」という呼称は攻撃者側の公開内容に由来するものであり、GMOが正式に認定した被害者番号ではありません。
GMO「被害者第1号」の個人情報を拡散すると罪になる?
個人情報をSNSで拡散する行為が、すべて直ちに犯罪になるわけではありません。
しかし、本人が公開を望んでいない情報を無断で広める行為には、法律上のリスクがあります。
特に今回のように、不正アクセスによって取得されたとされる情報を再投稿する場合は、二次被害につながる可能性があります。
① プライバシー侵害による損害賠償の可能性
本人が公開を望んでいない住所、電話番号、家族構成、生活状況などをインターネット上に広める行為は、プライバシー侵害に当たる可能性があります。
例えば、攻撃者が公開した個人情報を第三者がSNSに転載し、それによって本人のプライバシーが侵害された場合、民法709条などに基づく損害賠償請求の対象になる可能性があります。
なお、プライバシー侵害は一般に民事上の問題として扱われ、それだけで直ちに刑事罰が科されるわけではありません。
ただし、投稿内容が別の犯罪の要件を満たす場合には、刑事責任も問題になります。
② 名誉毀損罪や侮辱罪に該当する可能性
個人情報とともに、本人の社会的評価を低下させる具体的な事実を公然と広めた場合、刑法230条の名誉毀損罪が問題になることがあります。
また、具体的な事実を示さなくても、公然と相手を侮辱した場合には、刑法231条の侮辱罪が成立する可能性があります。
ただし、これらの犯罪が成立するかどうかは、投稿内容や文脈、法律上の要件などによって判断されます。
単に個人情報が含まれる投稿をリポストしただけで、必ず名誉毀損罪や侮辱罪が成立するわけではありません。
③ 脅迫や嫌がらせにつながる投稿にも注意
公開された住所などを利用して、本人や家族に危害を加えると告げる行為は、内容によって刑法222条の脅迫罪に該当する可能性があります。
また、個人情報を悪用した嫌がらせが繰り返されれば、被害者の生活に深刻な影響を与えるおそれがあります。
興味本位で情報を広めた場合でも、被害者に新たな被害を与える可能性があるため、注意が必要です。
X(旧Twitter)でリポストするだけでも問題になる?
今回のような情報がSNSに投稿されていた場合、閲覧・いいね・リポスト・画像転載などの行為には、それぞれ異なるリスクがあります。
| 行為 | 法的リスクと注意点 |
|---|---|
| 投稿を閲覧する | 通常、閲覧しただけで犯罪になるわけではありません。ただし、攻撃者のWebサイトへのアクセスは避けてください。 |
| 「いいね」を押す | 通常、「いいね」だけで直ちに法的責任が生じるわけではありません。ただし、問題のある投稿を広めるきっかけになる場合があります。 |
| リポストする | 個人情報を再び広めることになるため、内容によってはプライバシー侵害などの責任が問題になる可能性があります。 |
| スクリーンショットを転載する | 氏名・住所・連絡先などが含まれる場合、本人の権利を侵害する可能性があります。 |
| 犯人サイトのURLを共有する | 危険なサイトへの誘導や情報拡散につながるため、避けるべきです。リンクの共有だけで必ず犯罪になるわけではありません。 |
| 脅迫や嫌がらせをする | 行為の内容によっては、脅迫罪や名誉毀損罪などの刑事責任が生じる可能性があります。 |
重要なのは、最初に情報を公開したのが自分ではなくても、再投稿によって新たな権利侵害が生じる可能性があるという点です。
また、「いいね」と「リポスト」は異なる行為です。通常の「いいね」だけで直ちに違法となるわけではありませんが、個人情報の拡散を助長しないよう注意しましょう。
GMOは悪質な情報拡散者への法的措置を準備
GMOインターネットは、2026年10月27日の第11報で、顧客の情報とされるものについて、SNSへの再投稿やリンクの共有などを控えるよう呼びかけました。
さらに、悪質性の高い情報拡散者に対しては、証拠を保全したうえで、民事手続における発信者情報開示請求や、刑事告訴・刑事告発などの法的措置を準備すると表明しています。
ここで注意したいのは、GMOがすべてのリポストを犯罪だと断定したわけではないということです。
また、法的措置についても「準備を進めている」との発表であり、個々の情報拡散者に対する刑事告訴がすでに実施されたという意味ではありません。
実際に責任が認められるかどうかは、投稿内容、拡散の態様、被害状況などを踏まえて判断されます。
GMOは情報公開の被害者に特別お見舞金も発表
GMOインターネットは、2026年10月27日19時10分の第12報で、情報が公開された顧客への追加対応も発表しました。
同社は、公開された情報に本人の情報が含まれていることを確認した顧客を対象に、1公開につき上限300万円の特別お見舞金を設ける方針を示しています。
これは、不正アクセスに関連して公表済みの一律5,000円のお見舞金とは別の制度です。
ただし、対象となる条件や支払い内容は公式発表に基づいて確認する必要があり、SNS上で名前が出回った人すべてに自動的に300万円が支払われるという意味ではありません。
また、GMOは攻撃者からの要求には応じない方針を示し、事件解明につながる情報を募る懸賞金制度も発表しました。
犯人のWebサイトや保存されたページを見ても大丈夫?
今回、攻撃者とみられる者のWebサイトについて、GMOはアクセスしないよう強く注意を呼びかけています。
GMOによると、当該サイトにアクセスした人の情報が攻撃者側に取得されていることを確認したとのことです。
そのため、ファイルをダウンロードしなければ安全だとはいえません。
また、Internet Archiveなどに保存されたページについても、保存されたページ内のリンクや外部コンテンツに接触する可能性があります。
単なるスクリーンショット画像と、実際に操作できる保存ページは異なります。
事件の状況を知りたい場合は、GMOの公式発表や信頼できる報道機関の記事を確認する方が安全です。
すでに攻撃者のサイトにアクセスした場合は、GMOが案内しているウイルス対策ソフトなどによるフルスキャンを実施してください。
もし自分の個人情報がSNSで公開されていたら?
万が一、自分の氏名や住所などが無断で公開されていた場合は、落ち着いて対応することが大切です。
① 投稿内容やURLを安全な方法で記録する
投稿日時、投稿URL、アカウント名などを記録しておきましょう。ただし、危険な攻撃者サイトへ証拠収集のために直接アクセスすることは避けてください。
② 個人情報をさらに拡散しない
削除を求める目的でも、氏名や住所が見える状態で引用リポストすることは避けましょう。
③ SNS運営会社に削除を申し立てる
個人情報が無断で公開されている場合は、SNSのプライバシー侵害に関する報告機能などを利用して削除を申し立てることができます。
④ パスワードや認証設定を見直す
漏えいした可能性のあるサービスの認証情報を確認し、必要に応じてパスワードを変更しましょう。二段階認証・多要素認証の設定も重要です。
⑤ 不審なメール・電話・SMSに注意する
流出した情報を悪用したフィッシング詐欺や、GMOの関係者を装う連絡に注意してください。
⑥ 脅迫や具体的な危険があれば警察に相談する
危害を加えるといった脅迫や、実際の嫌がらせがある場合は警察に相談してください。差し迫った危険がある場合は110番通報を検討してください。
⑦ 必要に応じて専門家に相談する
投稿の削除や発信者情報開示、損害賠償などを検討する場合は、弁護士や法務局などの相談窓口を利用する方法があります。
個人情報が漏えいしたときの詳しい対処法については、以下の記事も参考にしてください。
GMOの個人情報拡散に関するよくある質問
Q. リポストしただけで逮捕されますか?
リポストしたという事実だけで、必ず逮捕されるわけではありません。ただし、投稿内容によってはプライバシー侵害による民事責任や、名誉毀損罪などの刑事責任が問題になる可能性があります。
Q. 「いいね」を押しただけでも罪になりますか?
通常、「いいね」を押しただけで直ちに犯罪が成立するわけではありません。ただし、問題のある投稿の拡散につながる場合があるため、個人情報が掲載された投稿への反応は慎重に判断しましょう。
Q. 名前や住所を黒塗りにすれば転載しても大丈夫ですか?
黒塗りをしても、写真や勤務先、生活状況などの組み合わせから個人が特定される場合があります。個人を特定できる情報が残っていないか注意が必要です。
Q. 「被害者第1号」とされる情報は本物ですか?
2026年10月27日時点で、GMOは公開された内容を調査中です。事実と異なる情報が含まれる可能性もあるため、真偽を断定できません。
Q. 犯人のWebサイトを見るだけでも罪になりますか?
一般に、公開されたWebページを閲覧しただけで直ちに犯罪になるとは限りません。ただし、今回のサイトについてはGMOがアクセス情報の取得を確認しており、安全上の理由からアクセスを避けるべきです。
Q. GMOは情報を拡散した人をすでに刑事告訴していますか?
10月27日の第11報では、悪質性の高い情報拡散者に対する刑事告訴・刑事告発などの法的措置について「準備を進めている」と発表しています。個々の拡散者に対する告訴がすでに行われたと確認できる発表ではありません。
まとめ|GMOの「被害者第1号」情報は安易に拡散しないことが重要
GMOのサイバー攻撃をめぐり、攻撃者とみられる者が顧客の個人情報と称する内容を公開し、SNS上でも関連画像が出回っています。
しかし、その情報の真偽は確認されておらず、被害者とされる人物の個人情報を転載することは、新たなプライバシー侵害につながるおそれがあります。
GMOは悪質な情報拡散者に対する法的措置の準備を表明するとともに、情報が公開された顧客への特別お見舞金制度も発表しました。
事件への関心と、被害者の個人情報を広めることは別です。
今後も公式発表を確認し、未確認情報や個人情報を安易に拡散しないことが大切です。
参考資料・出典
- お名前.com公式:不正アクセスに関する第10報(2026年10月27日)
- GMOインターネット公式:情報の拡散防止のお願い・第11報
- GMOインターネット公式:今後の対応方針と特別お見舞金・第12報
- ITmedia NEWS:攻撃者による顧客情報の公開に関する報道
- e-Gov法令検索:民法
- e-Gov法令検索:刑法
※本記事は2026年10月27日時点の公表情報に基づく一般的な解説です。個別の行為について犯罪の成否や損害賠償責任を判断するものではありません。最新情報はGMOの公式発表をご確認ください。

